無着色で活きる無垢材家具の良さとは
2019.7.27
木は地球が育んだ大自然の象徴。
太古の昔から、何億年という時間をかけて進化を遂げてきました。
人類はその誕生以降、衣・食・住の様々な場面において、木の恩恵を受け続けてきました。
ある時は燃えさかる炎で体を暖め、ある時は豊かな実りで空腹を満たし、またある時は、道具や住まいにかたちを変えて…。
人類にとって木はまさにパートナーとも言うべき、かけがえのない存在なのです。
このように、木と人類の歴史を振り返ってみると、暮らしの中に木を取り入れることは、むしろ自然なことのように思えてきます。
だからこそ、家具蔵は木本来の姿である『無着色・無垢材』にこだわり、世代を超えて使い継ぐことのできる確かな品質の家具を作り続けていきたいと考えています。
木質系材料の誕生と無垢材の価値
かつて、無垢の材料が時代遅れの素材と思われていた頃がありました。
木を新しい技術で加工し、工業材料レベルに近づける事が進歩とされていた時代があったのです。
その結果、「エンジニアリングウッド」と称する木質系材料が続々と誕生しました。
いつでも大量供給に応じることの出来る新建材として、その存在は大いに役立てられてきました。
しかし一方でそういった木質系材料の登場により、改めて無垢の木材の素晴らしさが見直されるようになったのは当然の帰結かもしれません。
木を構成する細胞のひとつひとつは微妙な仕組みで作られています。
それは人間の知恵など到底及ばない、生命の神秘といえるでしょう。
木質系材料と無垢の木材。
その違いを私たちは生き物として、根源的な感覚で知っているのです。
着色の家具
着色を施したうえで生産される木の家具は、大量に、そしてランダムに木材を買い付けます。
その為、どうしても材料の木目や色味がバラバラになってしまうので、上から色を塗り同じものであるように加工します。
これは大量生産が可能であることを意味し、生産の際のコストを抑えることにも繋がります。
しかし、木が持つ本来の質感や効能は損なわれ、長い期間の使用においても傷みなどが目立ちやすいものとなってしまうのです。
無着色の無垢材家具
そういったものが主流である現代、それとは一線を画す無着色の無垢材家具は「色を一切塗らず木そのものの色で仕上げる」ものです。
それでは無着色の無垢材家具の特徴を見ていきましょう。
●経年変化
経年変化が起こる理由は様々ありますが、最も多く影響を受けるのが光です。
その光の波長は様々で、特に紫外線の影響が強いといわれています。
木の成分のリグニンと呼ばれる成分はとても敏感で光を吸収、分解します。
そのことが経年変化のひとつの要因です。
経年変化は樹種によっても様々です。
色味が明るくなるものや、反対に色味に深みが増し、濃くなっていくものなど多種多様で、何年経過しても飽きる事がない風合いの美しさや表情の変化を楽しむことができます。
世の中すべてのものは傷が付いて当たり前、これは家具にとっても同じことです。
しかし、着色家具は歳月がたつほど色が褪せ、傷がつけば地の色が見えます。
貼ってある部分は角から剥がれてきてしまうこともままあります。
傷を気にしながら使う、もしくは傷を傷み以外の何物でもないものとして扱い、ゆくゆくは買い替える…ということも多いでしょう。
無着色、つまり素材の色そのままでつくられる家具は傷が目立ちません。
無着色で木目の美しさを活かし、傷も目立たなくすることでインテリアとしても道具としても長く愛してもらうことのできる家具となるのです。
傷がつくことに気をつけながら使うのではなく、共に時間を歩んでいける。
それが無着色の無垢材家具の良さです。
●香り
無垢の木材にはさまざまな成分が含まれており、樹種ごとに特有の香りを作り出しています。
香り成分のうち最も多く含まれるのが、テルペン類と呼ばれる揮発性の成分。
かすかに漂い続けるその香りはストレスや不安を和らげる心理的作用の他、気道の働きを良くする効果や血圧を下げる効果なども認められています。
また、木の香り成分にはアレルギーの原因となるダニやカビの繁殖を抑える働きもあります。
心地良い木の香りは、現代のストレス社会において気分をリフレッシュさせるだけでなく、清潔で快適な室内環境を維持するためにも大いに役立ちます。
●木目、木肌
無垢の木材は、視覚的にも優しさをもたらします。
原木から伐り出された断面は、表情が一つとして同じものがありません。
木目の模様や、木肌の色の濃淡などには「1/fゆらぎ」と呼ばれる動きのパターン(自然界に普遍的にみられる現象で、人の心拍数や脳波の変化、浜辺に打ち寄せる波、そよ風など、あらゆる自然現象の動きの元となる)があり、これが人の目に心地良い刺激を与え、リラックスさせてくれます。
更に木材の表面にあるミクロの凹凸は、太陽や照明などの強い光を分散し、人の目に最も良いとされる反射率50%~60%にまで抑えてくれます。
●調湿効果
無垢の木材はその内部に、たくさんの小さな空洞(細胞)がある多孔質という構造を持っています。
この空洞が、空気中の湿度が高いときは湿気を吸い、空気が乾燥してくると水分を吐き出す働きをするのです。
木材は呼吸しているといわれているのは、こうした調湿のメカ二ズムのためです。
室内に出来る限り無垢木材を取り入れておけば、高温多湿の夏や乾燥する冬にその力を発揮し、快適な住環境をサポートしてくれるでしょう。
無着色の無垢材家具は人と同じように歳月を重ねることによってその表情を変えていきます。
それはさながら歳を重ねたその顔の表情に深みと滋味が増していくのと同じです。
日々の暮らしの記憶も、やがてあちこちに刻まれていくことでしょう。
無垢材の家具の魅力は、経年変化する木肌の魅力そのもの。
だからこそ、家具蔵の家具作りは木が持つ本来の美しさを活かす、ということを基本にしています。
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