KAGURA OFFICIAL BLOG

室内環境とその調整 -熱環境と通風・換気-

2017.9.25

以前にこのコラムでお話した室内環境と感覚や知覚との関係性。

そのなかで前回は住まいの環境をつくるうえで重要な「視覚」「嗅覚」についてお話ししました。

今回は「感覚」の一分野として普段の生活の快適性や健康に大きく関わってくる、「温熱感覚」についてお話していきましょう。

 

092401.jpg

 

人間の温熱感

私たちの「温熱感覚」は周囲の環境と、その場所の熱の出し入れによって決まります。

また、そこには発汗などの身体的な調整の要素も関係してくるわけですが、その感じ方、組み合わせ方は必ずしも一定ではありません。

全ての物質には熱伝導の効率=熱伝導率があり、どんな物質に触れているか、またどれだけの時間その場所に留まるか、でもその感覚は変わってきます。

例えば、鉄やコンクリートなどに触れた時、ヒンヤリとした冷たさを感じます。

これは、物質に人間の体温が伝わり、触れた箇所から熱が急速に逃げていくためです。

これに対して、無垢の木材には、触れることで感じる温かさがあります。

木の優れた断熱性(熱を伝えにくい性質)は、私たちの体から必要以上に熱を奪うことがありません。

木は鉄の330倍、コンクリートの10倍ともいわれる高い断熱・保温効果を発揮します。

木の床などに腰を下ろすと、冬でも温もりが感じられるのはそのためです。

(ちなみに無垢の木材が熱を伝えにくいのは、その構造が小さな細胞の集合体であるためです。

それらの空洞の中には、熱の伝導を妨げる性質を持つ空気がたくさん含まれているのです。詳しくは下記関連リンクからどうぞ)

 

092402.jpg

 

室内の熱環境

いわゆる室内の熱環境は屋外からの熱の出入りによるものの他、人間を含めた室内側での発熱の多寡によって左右されます。

室内と屋外の間に気温の差があると、建物の壁や屋根・床を通して熱の流出入が生じます。

一般的な住宅の場合、窓と隙間からの熱の流出入は全体のそれから較べると約半分にもなり、そのことだけを考えれば室内の熱の流出入を小さくするには窓を小さくするか少なくし、気密性を高めればよいことになりますが、採光や換気・通風も考慮すると、一概にそれが好ましいことともいえません。

バランスのとれた工夫が必要です。

断熱性を高めるための断熱材は、その位置によって効果は異なりますが、断熱性が良く、熱容量の大きな壁体によって構成された建物は空間の快適性が良いという言い方もできます(高性能住宅)。

断熱性を高める工夫は壁や天井だけではなく、熱的に弱い部分である「窓」についても配慮されていなくてはいけません。

よく皆さんも耳にする「ペアガラス・二重ガラス」(ガラスとガラスの間に密閉された中間層をもち、光の透過性を保ちつつ、断熱効果を得られるガラスのこと。一般的な断熱材と同じ原理を用いており、対流が起こらない状態の空気は断熱性能が高い)などはその工夫のひとつです。

 

092403.jpg

 

通風と換気

換気とは言うまでもなく、「部屋の内外の空気を入れ替えること」です。

一方、「通風」とは開口部を通して大量の外気を通すことであり、通常は相当な速度の気流を伴います。

換気の目的は湿気や有害物質、臭いなどの除去であり、前述した熱環境の調節のための役割も果たします。

これは居住部分だけではなく、天井裏の排熱・床下の除湿といった部分に関しても必要です。

換気の方法には機械による方法と風や温度差などを利用する方法とがあります。

機械による場合には給気・排気ともに行うものや排気のみとするものがあります。

ご存知のようにキッチンなどはレンジフードを活用します。

風や温度差を利用するのは「自然換気」です。

この方法は必ずしも安定した換気量を期待できるわけではありませんが、キッチンやトイレと言った場所以外での換気はむしろ自然換気が主となることが多く、それ以外の場所で機械換気が行われます。

自然換気は風による換気と温度差による換気が同時に行われるのが一般的ですが、風向きと開口部の位置によって両者が加算されたり相殺されたりした結果、ある程度の量の換気が行われることになります。

そして通風の目的は換気に加え、適当な気流を室内に巻き起こし、体感温度を低くする効果を持ちます。

特に日本の夏のような高温多湿の気候にあっては、快適な生活を過ごすためには欠かせないものでした。

その答えが昔ながらの日本家屋や住居スタイルでもあります。

通風の原則は風の通り道をつけることであり、風の主方向に沿って風の入口と出口を設けることです。

そして、袖壁や植え込み、家具などでその通風の向きに変化をつけてあげることで、各部屋の快適性もぐんと上がります。

 

092404.jpg

 

関連リンク:

http://www.kagura.co.jp/point/03.html

http://www.kagura.co.jp/case/021/

 

参考文献:彰国社刊 小原二朗・加藤力・安藤正雄編「インテリアの計画と設計・第二版」

     彰国社刊 壁装材料協会発行「インテリア学辞典」


最近の投稿

カテゴリー

月別アーカイブ

  • [—]2019 (22)
  • [+]2018 (112)
  • [+]2017 (65)
  • [+]2016 (69)
  • [+]2015 (44)
  • [+]2014 (36)
  • [+]2013 (62)
  • [+]2012 (130)