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林業の今 その1

2018.5.22

日本はいうまでもなく、国土の3分の2が森林で覆われる世界有数の保林国です。

その一方で国内の林業は衰退を続け、平成28年度の森林・林業白書によれば、1980年に146,321人いた林業従事者は、2015年には47,600人まで減少し続けているとされています。

しかし一方で日本の林業は成長産業だ、という意見も出てきています。

今回は2回に分けて、そんな日本の林業と国外の林業の今をお話していきましょう。

日本 森林

 

そもそも林業って?


林業とは、木を育て、森を作り、育った木を切って売る産業の総称です。

森には、木材を生み出すだけではなく、木を薪や炭などにして燃料となったり、地面に雨を蓄えてきれいな水を作り出す、空気をきれいにする、木の根が土をつかんで災害を防ぐなど、世の中に役立つ様々な働きがあります。

木を切った後には苗木を植えて新しい木を育てたり、間伐を行うことで森を守ります。

こうした森の働きを守っていくのも、林業の仕事です。

 

日本における林業の歴史


日本では古代から木造建築をはじめ日用品の隅々に到るまで木が身近な存在であり、必要な用材を確保するため林業自体は古くから行われていました。

むかし話にも「木こり」がよく出てきます。

中世には寺社造営などに際して木材伐採を命じた文書が存在し、その頃にはもうすでに山林資源の管理が行われていたと考えられています。

そして、戦国大名が領地を成立させるに従って、その権限や職人達の活躍の場も時の権力者たちに掌握され組織化し、そのなかで、いまでいう人工林も存在するようになりました。

(現在の鳥取県八頭郡智頭町には慶長年間(1596年〜1615年)に造林されたというスギの人工林が存在する)

江戸時代に入ると、江戸幕府や藩によって行政管轄の「御林」が設定され、御林は明治維新後に新政府に引き継がれ、現在の国有林の原型となりました。

 

戦時中には乱伐により山林が荒廃し、戦後にその復旧造林が行われます。

昭和30年代には高度経済成長に伴い林業が振興されます。

エネルギー改革の流れの中で、利用価値の小さくなった薪炭林や老齢過熟の天然林が生産性の高いスギ・ヒノキなどの人工林に転換される拡大造林。

または優良樹を選別して育成する品種改良も行われるようになりました。

1956年(昭和31年)には森林開発公団が発足し、1964年(昭和39年)には林業生産の増大を定めた森林・林業基本法が制定されています。

高性能な林業機械、林地除草剤の普及による技術革新で伐採や集材、地ごしらえや下草刈りなどの省力化が図られ素材生産量は飛躍的に増大します。

しかし安い外材の増加による木材価格の低迷に加え、山村の過疎・高齢化、労賃の高騰などの影響を受け、日本の林業は打撃を受け衰退の一途をたどりました。

特に1980年代から1990年代にかけてが一番「底」の状態でした。

建築基準法の改定などに対応した品質の製材品を供給できないことから国産材は住宅メーカーからも敬遠されるようになった結果、日本の住宅の多くが北欧などの輸入材で建てられるようになります。

山には拡大造林政策により植えられた大量のスギ・ヒノキが取り残され、スギ花粉症の原因として林業が槍玉に上がってしまったということもありました。

原木 伐採 搬送

 

なぜ林業は衰退したのか


日本の林業産出額は1980年の1兆1582億円をピークに2012年には4000億円を下回ったとされています。

林業従事者も減少して、手入れがされず荒廃した森林が日本中で増えています。

国産材のスギは「世界一安い」とまで言われています。

それにも関わらず、国産材の供給量はこの10年、横ばいで推移しているそうです。

その原因には現代の高水準となったシステム社会に日本の林業がついていけなくなったという説があります。

「問屋への電話一本で、ミリ単位に加工された外国産材が、短納期で届くシステムができあがっている。

一方で国産材は、流通量が少なく質も不安定で、トータルで見ると高コスト。

経済合理性だけで考えれば、国産材を使う意味はほとんどない」

という意見です。

これを改善するには木を育てて伐採し、商材の価値を伝え、求めやすい流通経路を構築する必要があり、このような経営的視点を持った林業事業者の出現が必要である、とされています。

また、いわゆる労働環境へのネガティブなイメージもあったでしょう。

そんなことから若い人材の流入が減ったことも衰退の一因となりました。

 

一方でそのクオリティの高さから日本酒のように世界に向けて発信できる文化、という考えも広がってきました。

事実、木材の輸出が著しい増加をみせているのです。

1993年にはわずか5万立方メートルしかなかった輸出量が、2015年には228万立方メートルと22年間で44.8倍にもなりました。

大きく伸びたのは関係者の努力によって日本産木材の品質が海外で良い評価を受けるようになり、需要が掘り起こされたからでもあります。

主要輸出先はアジアが中心で、建築用材、特に内装材として日本の木材が好まれているそうです。

そんな動きをうけて林野庁も行政としてのサポートを打ち出すようになり、また、それは人材のサポートといった面でも若い世代の流入を助けています。

映画「WOOD JOB!」も行政の広報誌を見て、都会の青年が林業に従事することで成長する、そんな話でした。

一時期の底の状態から復興を始めた日本の林業。

では世界はどのような動きを見せているのでしょうか?

次回は「世界の林業先進国に見る現在」をテーマにお話を進めます。

林業 大木 伐採

 

参考資料

ウィキペディア「林業」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%97%E6%A5%AD

「なぜ林業は衰退したのか」

https://www.projectdesign.jp/201506/forestry/002157.php


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