大きな木目で自己主張するケヤキ。空間全体にエネルギーを与えるかのような迫力の佇まいは、昔ながらの「大黒柱」を彷彿とさせるかけがえのない存在です。いつもそこで待ち続けてくれるような確かな安心感をもたらしてくれます。

ケヤキは、日本、中国、朝鮮半島がおもな原産地。日本では、北海道を除く本州、四国、九州のほぼ全域に分布しています。日本の広葉樹の中でも最高クラスの良材として知られ、古くから神社や仏閣の建築材として重用されてきたほか、一般の住居では建具や床柱に、楽器では太鼓や琴などに広く利用されてきました。
日本の各地にはケヤキの巨木や銘木が数多くあり、そのうち天然記念物や県木として指定されているものは、17個体、並木1箇所にのぼります。中でも代表的なのは、山形県の小学校の校庭にある特別天然記念物「東根の大ケヤキ」で、推定樹齢は1000年、高さは28m、根回りは24mにも達します。
木目の表情は、動きがあり大きく明瞭。また、樹齢300年を超える古木の中には、「牡丹杢」「縮み杢」「珠杢」と呼ばれる装飾性の高い模様を持つものも少なくありません。まさに日本人好みの、ダイナミックで流れるような曲線や複雑な杢には、長命の木ならではの生命力がみなぎっています。材質は、非常に重厚で強度があり、耐久性と耐水性にも優れている反面、乾燥がとても難しいため、厚い材の状態で長い時間をかけてゆっくりと水分を抜く必要があります。
公園や境内、街路樹など身近に植えられ、ヒノキと並ぶ「日本人の心の拠り所」として、こよなく愛され使用されてきたケヤキですが、現在では個体数が減少。稀少価値が高まり、高樹齢の大木を入手するのは困難な状況となっています。
その立ち姿のままに魅力あふれる材の表情が、日本人の持つ「侘び」「寂び」の精神世界にまで深く入り込む、銘木中の銘木です。

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