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人間工学と椅子 -その2-

2017年11月27日

前回のコラム(http://www.kagura.co.jp/column/chair/171120091525.html)では椅子とテーブル(作業台)のどちらが大事か、人の姿勢に関わる点でどちらを重要視するべきかについてお話しました。

今回はそこから少し視点を変え、テーブルや机と椅子の関係性とその使い勝手についてコラムを進めていきましょう。

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テーブルの高さと差尺の関係

椅子とテーブル(机・ここでは作業台全てを含めてテーブルと総称します)の関係で大事なことは、テーブルの寸法を設計するうえで大事なことは「人」が一番大事であり、その人に合った椅子をつくって、最後にその椅子に適合するようなテーブルを設計するという順序を踏むという点です。

前回もお話したように、テーブルは最後に決まるものである、という基本的な考え方を崩さないことが大事なのです。

 

テーブルの使い勝手において大切なことは、「高さ」です。

椅子の座面から上に向かってテーブルの一番上(総高)まで測った距離(=これを『差尺』と言います)が適正になっていることが重要で、「椅子の座面+差尺=適正なテーブルの高さ」になっていることが理想です。

じつはこの観点は意外と知られていません。

それはテーブルと椅子はセット買いが一般的であること(つまりテーブルを購入すると対になっている椅子が付いてくる)や日本における椅子文化の「若さ」が理由です。

結果、「なんか疲れやすいぞ」「どうも疲れやすいな」ということが食事の場でも作業の場でも多くなっているのです。

ではその差尺はどれくらいが適切なのでしょうか。

事務作業や日本式の食事をする際の適切な差尺の目安は概ね「27センチから30センチ」です。

座面高41センチの椅子であれば、テーブルの総高は68から71センチが理想、ということになります。

数値、計算式を日本人の平均に当てはめると、27センチから30センチという数値が割り出され、家具蔵をはじめ、家具メーカーはその基準を考慮しながら家具をデザインしています。

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椅子の座面高

では椅子の座面高に適切なものはあるのでしょうか。

正解は「人それぞれ異なる」です。

床に足裏がしっかり着いているのが着座の際には理想であり、そうなることで体圧の分散や一カ所に負担が掛かることを防ぐのです。

しかし、体型や座高は人それぞれであり、先程お話したようにテーブルとの関係性には差尺が大きく関係します。

また、足の裏が床に着いていれば万事良いというわけではなく、膝が上に向き過ぎても疲れやすくなったり、腰が低い位置にありすぎても立ちあがりにくかったりします。

高さのバランスはこのようにさまざまな要素が絡み合って「丁度良いもの」が生まれるのです。

「椅子は実際に座って確認をするべき」とよく言われるのは、こうした要素を兼ねているからでもあります。

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疲れにくい椅子とは?

私たちの身体は作業をしているとき、無意識にいろいろな体勢をとっています。

そのため椅子の設計にあたっては、人間はもともと動くのが本来の姿だということを考慮にいれておかなければなりません。

着座した際に椅子の各パーツが身体にぴったりと「はまった」状態はたいへん疲れやすいもの。

しかし、さえぎる物が無く、自由に身体が動けばよいということではないのは、背もたれのないスツールやアームの無いアームレスチェアよりも身体を支える箇所が多いアームチェアに座っているのが一番楽、ということからもわかります。

一つ例をあげましょう。

一般的な事務用の椅子は背もたれの部分が身体の動きに応じて後方に傾く構造のいわゆる「ロッキング形式」になっているものが多く、皆さんも職場や学校の職員室などで一度は目にしたことがあるでしょう。

これは事務の能率を高め疲労を少なくするのに有効だと信じられていたのですが、実はその逆で非常に疲れやすい椅子であることが分かりました。

そのことを確かめるために、椅子に様々な装置をつけて、作業種別・性別・年齢別に何人かの人について背もたれの使われ方を測定した結果が以下です。

?背もたれのスプリングが柔らかいものは、1日のうち背もたれによりかかっている時間は意外に少なく、全作業時間の1?3%にしかすぎない。

?柔らかいスプリングによるロッキングはかえって疲労をまねきやすい。

もたれることで支持面が後方に逃げてしまうため、身体が倒れてしまい、そこで平衡を保とうとして腹筋を酷使するので、疲れてしまう。

?疲れを回復するには、上体を倒した状態で支えることが望ましいが、それが満足されるような角度までロッキングをつけると、作業自体が進みにくくなる。

 

以上の面から柔らかすぎるロッキングは休息、作業共にあまり役に立たないことがわかります。

また、背もたれが非常に高い位置まであり、頭まで支えるようなものも、身体を固定しすぎることから椅子の中で身体を動かしにくく、疲れやすい椅子になります。

このよう測定結果からも、人体は常に動くものであることと、そのポイントをしっかり押さえずに考えられた構造やデザインはとても使いづらい椅子となってしまうということがわかります。

大事なのは、まず椅子そのものや自分にとっての必要な条件(座り方や場所、目的、TPO)を確実にした上で、それに合うようなテーブルを選び、心地の良い場所にしていくこと。

ストレスの少ない、快適な時間と場所をつくるためにとても重要なことです。

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関連リンク

http://www.kagura.co.jp/chair/

http://www.kagura.co.jp/table/

http://www.kagura.co.jp/kagu/concept/

 

参考文献:

実教出版株式会社 小原二朗著書「暮らしの中の人間工学」

講談社 小原二朗著書「人間工学からの発想-クオリティ・ライフの探究」

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