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人間工学と衣服との関連性

2017年12月17日

このコラムでは人間工学をテーマに、今まで主に家具との関わりについてお話をご紹介してきました。

今回は少し観点を変えて「衣服」との関連をお話していきましょう。

いうまでもなく衣服とはファッションのことですが、「おしゃれな人」は「おしゃれなインテリア(住まい)」を使っている、そんなイメージがあります。

自然派の暮らし、飾らない暮らしが主流になっている昨今、衣服の快適性と住まいの環境や快適性は「質の高い暮らし」を送る意味でとても重要であると捉えられています。

そんな観点から「快適な衣服を知る」ことは「快適な住まいをつくる」という、当コラムの趣旨のひとつとも合致すると思いますので、皆さん是非ご一読ください。

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人間工学的な衣服の考え方

衣服を人間工学的な立場からみた場合、問題となってくるのは寸法・体型・肌触りです。

また、運動に伴う人体の変形に対する「適応の仕方」なども重要なパートとしてあげることができます。

いわゆる「機能性」が非常に重要です。

(じつはこうした問題が一番要求されるのは宇宙服。宇宙服は、手袋や靴、その他の各種装備など含め、約80キログラムにもなる程の重量があります。これだけの様々な機能があると衣服というよりも機械と言ってしまうこともできますが…)

この機能性、冬でも暖かい性能を誇る下着や、水分を弾きながら内部の湿度を逃がす素材など多くの高性能衣類が世には出ています。

いわゆるこれらを含めて、服飾店で販売されているものはいわゆる「既製服」と言われるもので、オーダーメイドのスーツやドレス以外は殆どがこれにあたるでしょう。

 

実際に皆さんも日常生活の中で、既製の衣服を着用することのほうが多いでしょう。

しかしながら、ひとりとして同じ体型の人などいないのは当然のこと。

寸法や体型共にきわめて多種多様な人たちに合うような衣服を縫製するということは、とても難しい仕事です。

これに答えようとするならば、まず人体の寸法や体型について知らなければなりません。

例えば女性は平均的に年代が進むにつれて袖丈が減少するそうです。

あくまで一つの参考値ですが、きちんとしたデータがないと、標準的なサイズを決めて衣服をつくることはできません。

既製服の寸法の種類は多ければ多いほど私たちには便利ですが、メーカーにとっては、少ない種類で全部の人をカバーできる方が簡単で、そのあたりが各メーカーごとに同じサイズ表記でも異なるサイズ感であったりすることと関係があったりします。

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運動に合う衣服とは

衣服は静止している人体に適合しているのみならず、運動時においても無理がなく、動かしやすいことが大切です。

そのためにはまず身体を動かしたときの皮膚の表面の伸び縮みや動作中における体型の変化について明らかにする必要があります。

人体は様々な動き、動作をします。

その動作による変化を知らなければなりません。

具体的な動作の種類は、腕の上げ下げ・歩行・階段をのぼる・脚を開く・椅子にかけるなどから絞られます。

その結果を要約すると次のようになります。

1.上半身の運動に対しては、胸回りとその上部の伸長は大きいが、肩周りや首まわりは上肢を水平にしたときは小さくなる。

2.腕のつけ根まわりはあまり変化しない。

3.ウエスト線は上肢のどの運動に対しても変化がすくない。

4.下肢をのばしたままの運動では、ウエスト線はほとんど変化がないが、膝を曲げて行うような運動では、最大6%ほどの伸びがみられる。

5.腹回り、腰まわりも4.と同様である。

6.脚のつけ根まわりは、歩行動作で脇を後方に移したときに、後方へ伸びる。

7.脚部では全面は水平的な伸びが大きく、大腿後面から股下にかけては、垂直的な伸びが大きい。

こういったことを、通常の衣服にとって考慮する必要があります。

また特にスポーツウェアではこのことは大切であり、材料との関係性を上手く解決していなくてはならないのです。

 

また、布地の肌ざわりは衣服の材質を選ぶうえでとても重要な問題です。

柔らかなもの、ゴワゴワしたものなど様々な表現がされていますが、もっと人間工学的にも研究されるべき事柄でもあります。

例えば、布地を構成する糸の番手を細くしていく際に、どの範囲まで手ざわりでそれが識別できるのか、目ではどの程度まで区別することができるかといったようなことも生産技術上からは必要になってきます。

むやみに糸を細くしても、体感によって認識できなければ耐久性からいってもコスト面から見ても無駄になってしまいます。

このような衣服の感触に関する人間工学的な問題は今後研究が進むところであり、現状よりもさらに快適な着心地を持った衣服が生まれていくでしょう。

一方で、やはりコットンの肌触りが一番、レザーの質感がたまらなく好き、といった方も多いのではないでしょうか。

どれだけ技術が進み、研究が進んでも自然素材の質感には叶わない、私たちも家具蔵の家具を撫でながらそんなことを思うのです。

 

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関連リンク

http://www.kagura.co.jp/point/03.html

 

参考文献:

実教出版株式会社 小原二朗著書「暮らしの中の人間工学」

講談社 小原二朗著書「人間工学からの発想-クオリティ・ライフの探究」

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