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日本の伝統的素材の豊かさを、後世に残したい

日本の伝統的素材の豊かさを、
後世に残したい

泉幸甫建築研究所

泉幸甫さん

泉幸甫建築研究所代表。日本大学教授、工学博士。1947年熊本県生まれ。NPO法人家づくりの会の設立に係わった中心メンバー。 会が主催する「家づくり学校」の校長を勤める。東京建築賞最優秀賞、日本建築学会作品選奨など受賞。

クルミのダイニング・ウォールナットのリビング

東京都 山本邸

 アパート併用住宅、ご自宅で茶会をされたいという要望や、バス通りに面した立地など制約が多かったのですが、それがかえってプランニングを固めるのに役立ちました。 素材使いは私が長年培ってきた手法を踏襲しています。木、石、紙、鉄などの本質的な美しさを、ひと手間かけてシンプルに引き出すような見せ方です。 その中で家具蔵の家具は、様々なインテリアの要素がミックスしている室内にうまく調和したと思います。 伝統と革新の美しい融合を感じさせています。例えば山本邸の欄間ですが、この複雑な組子の造形は、現代のハイテク技術が生かされています。 幾何学模様をコンピューターで作成し、そのデータを加工機械に送り、正確な寸法にカットされたパーツを建具職人が組みあげる事でこのような美しい造形が比較的容易に生まれます。 伝統をそのまま継承することももちろん大切ですが、現代ならではの技術力や発想力をもって、また新しい価値観を生み出していく。 そこに普遍性や本質的な美、面白さがあれば、それが新しい伝統になり得るという事ですね。

「アームチェア ヴィンテージ」、「Vチェア」(共にウォールナット材)の美しい削り出しの曲線が、直線で構成された端正な空間に表情を添える。

ダイニングの「テーブル ヴィンテージ」はクルミ材。脚の絞り形状は天板とのバランスをみて泉氏がデザインした。

リビングは床材と同材のウォールナット材を使用。ソファは赤い革を使用してコントラストを出すことで、リビングが引きしまった空間に変化する。

階段ホール全景。玄関引き戸の脇に、茶庭に置かれるつくばいを配置。この階段を露地と見立て、特別な空間へ向かう「結界」にするという演出

水回り、寝室へと向かう廊下の突き当たりには、天窓からの光がお気に入りのアートを照らす飾り棚。

土地柄や周囲の街並みから武蔵野の面影を連想させるファザードを意識した。

玄関ホールからリビングに入る格子の引き戸と隣接する茶室の欄間。整理された構造材によってその対比が際立つ。

1階は賃貸アパート。塀は立てず、生け垣で各住戸の玄関を隠している。アプローチや玄関庭の植栽は、泉氏がデザインし、直接植木畑を訪れ、枝ぶりを吟味しながら選んだもの。気に入った植木との出会いが嬉しいそうだ。

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